皆さんは「岩塩」というものをご存じでしょうか? 簡単に言ってしまえば「塩」ですが、日本の業者が生産している塩とは、でき上がる過程がまったく異なります。日本では海水を精製して塩を作ります。一部、手作りの業者は海水を日光にさらして水分を蒸発させるという手法で作ります。
一方、岩塩は結晶となって地層を作っており、鉱物のように掘り出して利用します。岩塩層があるところはもともと海だったそうです。地殻変動で海水が内陸にとどまってしまい、長い時間をかけて水分が蒸発し、結晶となったものが地層の一部となったのです。
日本では岩塩層を見ることはできませんが、アメリカやヨーロッパなどの大陸には岩塩層がいくつも存在します。今回は、岩塩層を掘削する過程でできた「芸術品」を見に行きましょう。
見学コースだけでもおよそ3.5km
今回訪れるのは、東欧ポーランドにある「ヴィエリチカ岩塩坑」です。首都であるワルシャワから南に300kmほどの位置にあります。
ヴィエリチカ岩塩坑は、13世紀から700年以上に渡って岩塩を産出し続けた採掘場です。坑道の総延長は何と300kmほどにもなるそうです。また、最も深いところは地下327mに達するとのこと。この採掘規模が700年以上の歴史を反映しています。ちなみに、ヴィエリチカ岩塩坑は、1978年に世界初の世界遺産の1つとなっています。
現在、ヴィエリチカ岩塩坑では観光客向けに坑道の一部を公開しています。公開している部分は深さにして135mまでの部分で、見学コースの総延長はおよそ3.5km。坑道の総延長とくらべるとごくごく一部ですが、見学するにはかなり長いコースになっています。
グーグルがこの展示コースの一部をストリートビューで捉えています。まずは、ちょっとだけ中を見てみましょう。
↓↓画像の上でクリック&ドラッグ! 景色が動いて変化を楽しめます↓↓
見学コースの途中にある展示です。人形を使って岩塩採掘作業の様子を再現したものですね。ほかにも、採掘した岩塩を運び出す作業を再現した展示なども見ることができます。しかし、本当の見どころはほかのところにあります。
地下100mにある礼拝堂
それでは、ヴィエリチカ岩塩坑で最も美しいところを見ていきましょう。深さ約100mの位置にある「聖キンガ礼拝堂」です。
↓↓画像の上でクリック&ドラッグ! 景色が動いて変化を楽しめます↓↓
地下約100mの位置に、これほどまで広い空間が広がっていることも驚くべきことですが、この礼拝堂の見どころは、床も壁もすべて岩塩でできているという点にあります。ガラスか水晶でできているようにも見えるシャンデリアも、岩塩のかけらをつないで作ったものだそうです。
↓↓画像の上でクリック&ドラッグ! 景色が動いて変化を楽しめます↓↓
祭壇に近づいてみたところです。もちろん、祭壇も燭台もマリア様を形どった彫像もすべて岩塩を削って作ったものです。左右の壁面には、さまざまな宗教画が見えます。
↓↓画像の上でクリック&ドラッグ! 景色が動いて変化を楽しめます↓↓
これらの宗教画もすべて岩塩を彫って作ったものです。右上には十字架を背負ったキリストを描いた絵が見えます。その精巧さにも驚きますが、すべて塩でできている絵画や彫像を、美しい状態で保存できていることにも感心します。反対側の壁を見ると、「あの絵」を模写したものが見えます。
↓↓画像の上でクリック&ドラッグ! 景色が動いて変化を楽しめます↓↓
あのレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」の模写です。本物はミラノの修道院の壁画となっています。ちなみに、本物の「最後の晩餐」がある修道院も世界遺産となっています。
安全を願いながら鉱夫が作った
ヴィエリチカ岩塩坑にある芸術作品を見てきました。実はこれらの彫刻はプロの彫刻家が作ったものではありません。岩塩採掘に携わっていた鉱夫たちが、作業の安全を祈りながら仕事道具を使って彫ったものなのです。鉱夫たちが、とても信心深かったということが伺えます。ほかにも、鉱夫の信心深さを感じさせる場所があります。坑道のあちこちに礼拝堂があるのです。
↓↓画像の上でクリック&ドラッグ! 景色が動いて変化を楽しめます↓↓
自分たちで礼拝堂を作り、安全に家に帰れるように一心に祈っていたのでしょう。信心深さを感じるだけでなく、坑道での作業が決して安全なものではなかったということを感じさせます。
最近の日本人の大多数は、宗教とのかかわりをあまり持とうとしません。宗教にのめり込んでしまうのも良くありませんが、神様に祈る気持ちを忘れてしまうのも悲しいことです。この岩塩坑を見て、神様に祈る気持ちを思い出す人がいれば幸いです。
CONTACT
資料請求・各種お問い合せは、お問い合せフォーム、
またはお電話にて承っております。お気軽にご連絡下さい。
- TEL
- 03-4405-9228
- メールでのお問い合わせ