日本の伝統文化である「盆栽」。
平安時代から鎌倉時代あたりに中国から渡来し、それ以来日本の文化として長年に渡り多くの人々に親しまれてきました。
近頃、盆栽が「BONSAI」として海外から注目を集めていることをご存知でしょうか?
アニメや漫画などのクール・ジャパンだけでなく、伝統的な文化もまだまだ根強い人気を誇っているんですね。
イタリアには年商3億円の盆栽卸業者も
イタリアはヨーロッパの中でも盆栽愛好家の数が多く、最も盆栽文化が普及しレベルの高い国になったと言われています。
パイオニア企業である「CRESPI BONSAI」がミラノに創業し、本格的に盆栽輸入を始めたのが1979年。そこから約35年以上の歳月を経てもなお、海外における盆栽人気は滞るところを知りません。意外にも、海外の盆栽における歴史は長いものなんですね。
2015年10月14日にはCRESPI BONSAIの盆栽バイアーが国内有数の松盆栽産地、高松市鬼無・国分寺両地区の生産者を訪ね、今後のヨーロッパにおける盆栽市場の発展を示唆したと報じられていました。(SHIKOKU NEWSより)
また、イタリアのみならずイギリスやドイツ、アメリカなどでも盆栽の人気は高く、多くの人々が世界中で盆栽に関する情報交換を行っているみたいです。
盆栽という芸術作品から日本の精神を学べることも、海外での人気が高まった一つの要因だとか。
日本では盆栽というと”年配の方のもの”というイメージがありますが、海外では”若者の趣味”として親しまれているんですね。
(参考文献:https://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000186/bonsai.pdf)
奥深い盆栽美
盆栽の鑑賞方法とは
盆栽はただの植木だと思ったら大間違い。きちんとした鑑賞方法があるんです。
盆栽を観賞するには、まずは盆器の中に凝縮された大自然の情景をイメージすることが大切であり、次に盆栽全体の姿を見るだけではなく、根、幹、枝、葉という各部分の見どころにも注目することが大切です。本当にとても奥が深いですね。
そして細部を見る時にはまずは「根」から。
歳月をかけて土に強く映える根に盆栽の生命力を感じとることができます。
盆栽に触れたことのない身としては、難しい技のように思われますが、自分で年月をかけて盆栽を育ててみると、この趣を理解できるような気がします。
根の他にも、細部により鑑賞の方法や異なるので、是非こちらからご覧ください。
五葉松が人気
(盆栽日本より)
盆栽の中でも人気なのが五葉松です。
もともと高地に自生する松であり、厳しい寒さに耐えて育つ丈夫な木のためとても育てやすく、初めての方でも盆栽の楽しさを存分に味わえる樹種として人気を集めています。
写真のように、葉がたくさん生えて密集するため、風通しの良いところで育てるのがポイントです。
五葉松は年間を通して緑の葉の姿ですが、もみじのように季節によって葉の色が変化し、年間を通して違った姿を楽しむことのできる盆栽も人気です。
世界盆栽大会とは
ところで、みなさんは「世界盆栽大会」と呼ばれるイベントをご存知でしょうか。
これは、「盆栽」を通じて世界の盆栽愛好家が集い、盆栽文化の普及と技術の向上、国境を越えた親善交流を目的として、四年に一度開催されている国際イベントなのです。
盆栽を通じた人材交流の場であるこの大会は、1989年にさいたま市で第1回が開催されて以来28年ぶりとなる日本での開催が、2017年に決まっています。
開催地は同じく埼玉県に決定し、さいたまスーパーアリーナを含む計6か所で催される予定です。
多くの外国人が詰めかけることが予想されているこの大会、盆栽美に触れることのできる機会ですので是非足を運んでみてください。
(詳しくは公式HPをご覧ください)
さいたま市大宮盆栽美術館
さて、2017年に「世界盆栽大会」が行われるさいたま市ですが、2010年には世界で初めての公立の盆栽美術館が誕生しました。
(館内の一部をご覧いただけます。)
さいたま市大宮盆栽美術館は大宮の盆栽村に近接して設けられた施設であり、昨年度には3000人以上の外国人が来館しました。
旧髙木盆栽美術館のコレクションをひとつの核とした盆栽の名品、優品をはじめ、盆栽用の植木鉢である盆器や、一般には水石と呼ばれる鑑賞石、盆栽が画面に登場する浮世絵などの絵画作品、それに、盆栽に関わる各種の歴史・民俗資料等を系統的に収集、公開することにより、さいたま市の伝統産業にも指定されている盆栽の文化をひろく内外に発信することを目的とした活動をしています。(さいたま市大宮盆栽美術館HPより)
館内を進んでみると、日本の伝統である畳と盆栽の見事な融合に出会うことができます。
コレクションギャラリーと呼ばれるこれらのスペースは、プロローグ、ギャラリー、座敷飾りという3つの空間から構成されています。
プロローグは、盆栽文化への導入部の役割を果たしており、盆栽と深く関わりのある盆器、水石、絵画資料、そして歴史・民俗資料といった作品等が月替わりで展示されています。
続くギャラリーと畳の座敷飾りは盆栽の展示空間となり、ギャラリーでは5席、座敷飾りでは3席の盆栽が季節に合わせ週替わりで紹介されているので、毎週違った趣を楽しむことができます。
名品盆栽の聖地として知られる盆栽村に近いこともあり、外観も街並みに溶け込む雰囲気を醸し出しています。
▼さいたま市大宮盆栽美術館
所在地:〒331-0804 埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3
電話番号:048-780-2091
HP:http://www.bonsai-art-museum.jp/
いかがでしたでしょうか
絵や建築物は完成したらそこで終わりですが、植物である盆栽は生きており、日々成長していきます。
それが海外では「命のあるアート」「変化するアート」として人々の関心を集めているそうです。
また、さいたま市大宮盆栽美術館のみならず、年間約1万人の外国人観光客が訪れるという隠れた名所、江戸川区の「春花園BONSAI美術館」には、海外からやってくる修業者が後を絶たないそう。
海外のみならず、日本国内での盆栽文化の発展にも今後ますます注目が集まりそうです。
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