アニメや漫画、さらには映画でも大人気になった「進撃の巨人」ですが、その撮影の舞台になった地をご存知でしょうか。
荒廃した地を再現するために選ばれたのが長崎県の端島(はしま)。「軍艦島」の愛称で親しまれ、2015年7月に世界遺産登録された島です。
古代都市を思わせるような雰囲気を持ち、映画の世界観を見事に創出した軍艦島。今回は、ストリートビューで公開されているこの島に潜入してみたいと思います。
長崎県に位置する軍艦型の島
軍艦島は長崎港から19キロほどの海上に浮かび、船で40分程の位置にある、東西約160m、南北約480m、面積6.4haの小さな半人工島です。島を上空から眺めた時の姿が戦艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」という愛称がつけられたと言われています。
1870年から始まった炭鉱開発に伴って、日本の近代化を担う炭鉱の町として、最盛期には5000人以上が島で暮らすほどに栄えました。しかし、時代の流れと共に主要エネルギーが石炭から石油へと移行したことにより、1974年に炭鉱開発の山は閉山、それと共に軍艦島も無人島となりました。無人になった島には、国内最初の「高層鉄筋アパート」や「炭鉱施設」などが置き去りにされ、炭鉱の町の名を轟かせた軍艦島はその伝説が人々の記憶に深く刻みこまれたまま無人島になったのであります。
その後長い年月を経て、平成21(2009)年4月には一般の方が島へ上陸することが可能となり、現在では軍艦島上陸ツアーを通して累計80万人を超える観光客が訪れていると言われています。そして2015年7月、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産~製鉄・製鋼、造船、石炭産業~」として正式登録されました。
海からの軍艦島
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海から見た軍艦島の様子です。上陸前の不思議な高揚感が伝わってくるようです。ストリートビューを左に進んでいくと、軍艦島への上陸手段である「ドルフィン桟橋」に辿り着きます。過去2回台風によって流出した経験のあるこの桟橋は、長い年月をかけて数々の改良が加えられたのちに今の形が完成し、潮の流れが速く上陸が難しいと言われている軍艦島において大きな役割を果たしています。
軍艦島に上陸
さて、いよいよ軍艦島に上陸です。
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ぐるっと360°、あたりを見回すと目の前に見えるのが赤い建物。これは軍艦島が炭鉱の町として栄えていた時代の総合事務所です。鉱山の中心的役割を担っていたレンガ造りの建物で、島の司令塔的存在でした。中には会社の職員が80名ほど常駐し、島内の活動指示を出していました。当時、子どもたちが入ることは許されず、大人だけの特別な空間であったようです。街の中心であったこのあたりは、多くの建物が存在していたにも関わらず、今ではそのほとんどの姿を見ることができません。その中にそびえ立つ赤い総合事務所は、その当時の面影を残したままの存在感を醸し出しています。
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こちらは当時の住宅地。現在は無人ですが、最盛期には東京都と比べて約9倍近くの人口密度を誇った軍艦島では、多くの人々がこのような集合住宅に密集していました。
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また、街には当時の繁栄の面影が至るところに残っています。縦一直線に並んだこちらの四角い枠は、ベルトコンベアーに利用されていた支柱です。精製された石炭がこの上を移動したのち貯炭場に蓄えられ、運搬船に積み込まれました。このベルトコンベアーによって軍艦島で作られた石炭は他の地へ送られていったのです。
廃墟の中
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ストリートビューでは、普段一般の方の立入りが禁止されている廃墟の中を見ることができます。まず、最初の位置からぐるりと360°一周してみると左手に冷蔵庫のようなもの、そして右手には流し場やかまどのようなものを発見できます。ここは調理場だったようですね。
そしてさらに奥に進むと生活スペースに入っていきます。破れた障子や開いたままのタンスなど、当時の面影をそのままに残している姿に思わず息を潜めてしまいます。とれかかった窓も、無人島になってからの時代の流れを強く感じさせる遺産となっています。
撮影の様子
この映像では、軍艦島ストリートビューのメイキング映像をご覧いただけます。撮影にはバックパック型の撮影機材トレッカーを用い、約2時間程度かけて撮影されました。10秒あたりでは島を上から移した姿を見ることができ、「軍艦島」という愛称の由来の理由を見てとることができると思います。
軍艦島デジタルミュージアム
また、長崎県には最新のデジタル技術を利用して当時の軍艦島にタイムスリップできる「軍艦島デジタルミュージアム」という施設もあります。人口密度世界一の活気溢れる島の様子や、上陸ツアーでは立ち入ることのできない区域などを、巨大スクリーンやプロジェクションマッピングを通して体感できるミュージアムです。これなら船が苦手な方も軍艦島を味わうことができますね。
▼軍艦島デジタルミュージアム
所在地:〒850-0921 長崎市松が枝町5-6
電話番号:095-895-5000
URL:http://gdm.nagasaki.jp/
永遠ではない軍艦島
長年、海風や台風にさらされた軍艦島は、日々少しずつその原形を失いつつあると言われています。こうしている間も崩壊が進んでいる軍艦島、今日見た軍艦島が明日あるとは限らないということをきちんと心に留めておきたいと思います。
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